東京慈恵会医科大学附属病院脳神経外科 脳血管内治療センター

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研究分野

“Innovation for Neuroscience”が私たちのミッションです。
今の医療の問題点、課題は何か、もっと良い医療にするためにその課題の解決策を模索することが研究の原動力です。 未だ根治困難な悪性脳腫瘍を克服するための免疫療法、脳血管障害や脊椎脊髄手術における低侵襲治療を実現するための医療機器開発、革新的な画像技術の開発、脳動脈瘤の流体力学的研究、より良い医療情報や診断のためのAI、遠隔医療、ICTシステム、ソフトウエア開発など革新的医療実現のための研究を行っています。

医療機器研究開発

当講座には GLP 準拠の血管撮影装置施設(Siemens Artis Zee floor®)を保有しています。 この血管撮影装置の特徴として、通常の血管撮影に加えて、脳循環を評価するソフトウエアが搭載されています。 また、同時に高解像度 MRI(9.4T)が隣接されており、極めて詳細な血管構造を解析することが可能となっています。(9.4テスラ Biospec 90/20 MRI装置(ブルカーバイオスピン株式会社; エットリンゲン,ドイツ)これらの充実した研究装置を用いて国内および海外の研究機関と共同しながら新規の医療機器開発を行っています。

Opend May. 2012
Artis Zee floor®

MRI装置:
9.4テスラ Biospec 90/20 MRI装置
(ブルカーバイオスピン株式会社; エットリンゲン, ドイツ)
コイル:
内径86㎜の2チャンネル送受信直交コイル

イメージング材料研究

近年、ステント等の金属を用いた低侵襲なカテーテル治療が広く普及しています。しかし、コイルやステントは金属製であるために血液適合性に乏しく、留置後に血栓形成を引き起こし得ます。そのため、抗血小板薬を長期間服用する必要がありますが、その服用期間については医師の経験に基づいています。我々はファージディスプレイを用いてステントやコイルの金属部分を検出する短鎖ペプチドを開発しました。ステントやコイルは、血管内へ留置後、徐々に血管内皮細胞で被覆されていく。そのため、この短鎖ペプチドを用いるとステントやコイルの内皮化を可視化することができ、科学的根拠に基づいて抗血小板薬の服用中止を正確に判断でき、医療費削減にもつながると考えています。

1)Kodama, T., A. Yoshihara, I. Goel, M. Sekino, A. Kuwahata, A. Yoshimori, Y. Murayama, et al. "Identification of Metal-Binding Peptides and Their Conjugation onto Nanoparticles of Superparamagnetic Iron Oxides and Liposomes." ACS Appl Mater Interfaces 12, no. 22 (Jun 3, 2020): 24623-34.

東京理科大学との医工連携研究

東京慈恵会医科大学 脳血管内治療センターでは、2010年より東京理科大学 工学部と共同で医工連携研究を実施しています。コンピュータ・シミュレーションの一種であるCFD解析技術を用いて脳動脈瘤内部の血流をシミュレーションすることで脳動脈瘤の発生、成長、破裂、再発、外科的治療の効果などを予測できるような手法について研究しています。また、工業用の高精度な3Dプリンターを用いて治療対象となる脳血管の3Dモデルを造形して、より安全で効果的な治療を行うことも目指しています。その他にも、構造物の挙動や変形に伴う力等をシミュレーションする構造解析ソフトウェアや血液粘度測定器等、通常では大学病院には存在しないような機器やソフトウェアを活用して研究開発を実施することで、患者様も納得した上で臨める、最先端の技術に基づいたより安全で効果的な治療を提供できるよう取り組んでいます。

東京理科大学工学部 藤村宗一郎先生
3Dモデルを作成し臨床に活用
第30回NPO法人日本脳神経血管内治療学会学術総会でポスター賞 金賞を受賞
左から村山雄一教授、鈴木貴士先生、高尾洋之先生、藤村宗一郎先生
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